現在、地球の温暖化は深刻な問題になっています。その最大の原因が二酸化炭素です。二酸化炭素は、日本における温室効果ガス排出量の92.9%を占め、国民一人当たりの排出量は、年間9tを超えています。大気中の二酸化炭素濃度も増加の一途をたどっており、二酸化炭素削減は全世界で取り組まなければならない急務な課題となっています。
二酸化炭素を固定する最も確実で最も地球に優しい方法は、樹木の光合成です。樹木は、葉で光合成を行い、吸収した二酸化炭素と水から炭水化物を合成し、それを自らの成長に用います。つまり、炭水化物という形に固定された二酸化炭素は、枝や幹という形で長期間にわたって樹木に蓄積されるのです。 例えば、幹の直径10pのチーク一本当たりの二酸化炭素蓄積量は40〜50s、直径50pでは5〜6tにもなります。
しかし、現在森林は減少の一途をたどっています。大規模な伐採や焼畑などによって東南アジアやアフリカの熱帯雨林が次々と消失しているのが現状です。木を失った大地は、表土が流出し、荒地に変わり果ててしまっているのです。
地球温暖化防止の点だけでなく、環境保全の点からも森林の再生が必要とされているのは明らかです。そこで私達は、タイをはじめとする東南アジアの国々で植林事業を行うことにしました。 植林では、いかに効率よく短期間に植林用苗木を大量生産することができるかが極めて重要です。種子から苗木への成長は長時間を要したり、また大量の種子を得ることが困難な場合も多いことから、植林用苗木の生産には挿し木が多く利用されています。挿し木は、短期間で苗木が調製できる点や大量生産が可能な点で、苗木の生産に最適なのです。
挿し木によって植林用苗木を調製する場合、植物の最も重要な器官の一つである根の発生や成長を促進することは極めて重要です。私達は、新規植物活性剤TGG01とTGG02の大量合成方法および、それを用いた植林用苗木の効率的大量生産方法を確立しました。この方法によって大量に生産した苗木を用いて、大規模な植林を行っていきます。
私達の行う植林は、最低30年は植林した木を伐採しません。これは、現在一般的に行われている植林の2倍以上の期間です。 また、管理のための現地の人々の雇用や、チークを伐採し売ることでの現金収入など、環境保全だけではなく現地への経済的効果をも念頭において行います。その他にも、植林に関連して収入を得る手段を提案していきます。 植林によって経済効果が上がれば、過剰な焼畑を防ぐことができ、それは森林保護にもつながります。植林によって再生された森林は、環境だけでなく現地の人たちの生活も護る存在になるのです。 |
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