<<<タイ>>>

数十年前まで、タイでは外貨獲得を主目的とした大規模な森林の伐採が行われていました。それによって、かつて国土の半分以上を占めていた森林の大半が消失してしまいました。政府の公式発表では森林面積は国土の26%とされていますが、実際には15%前後にまで減少しているといわれています。さらに、以前に伐採が行われた土地のほとんどが放置されたまま荒地になっているのが現状です。

   

上の2枚の写真は、どちらもタイ東北部KALASIN近郊の同じ場所を撮影したものです。写真右上に同じ山が映っているのがわかると思います。20年前には一面の熱帯雨林でしたが、それが伐採された今は、茶色い地面が剥き出しになった荒地になってしまっています。タイには、至る所にKALASINと同じ経緯でできた荒地が広がっています。

タイの森林減少に拍車をかけている理由の一つに、焼き畑農業による焼失があります。タイの農村部では、人々が耕す土地を求めて不法に森林に入り込み、木を燃やして畑にするということが多く見られています。政府によって植林され、成長しつつあった森林が燃やされてしまうこともしばしばです。彼らの行う農業は、木や草を焼いた灰のみを肥料とし、管理もおろそかで満足な収量は得られていません。しかし、土地を持たない農村部の人たちにとって焼畑は唯一の生活手段なのです。もし、その術を奪われれば、家族全員が路頭に迷うこととなります。そのため政府も彼らを追い出すことができず、悪循環が続いているのです。

現在、タイでは伐採によって失われてしまった森林を回復させようという計画が始まっています。かつての半分以下に減ってしまった森林面積を40%に戻そうというのが政府の立てた目標です。それは、現在のタイの森林面積を政府の公式発表である26%としても7万平方キロメートル、実際にいわれている約15%とすると1万2千平方キロメートルを越えます。1万2千平方キロメートルというと、北海道の面積の1.5倍に相当する広さです。

タイの国土面積   513.115ku
現在の森林面積(国土の26%) 133.410ku
森林回復目標面積(国土の40%) 205.246ku

タイの植林活動の中心となっているのが、農業協同組合省(Ministry of Agriculture and Cooperatives)に所属する政府機関であるFIO(Forest Industry Organization,森林工業機構)です。FIOは、北部にチーク、南部にゴム、東北部にはユーカリを主に植林しています。

 


FIOが組織培養によるクローン苗を
用いて植林したチーク (植林後10年)

私達東海グローバルグリーニングは、FIOと協力してタイ国北部のランパン県でチークの植林を行いました。

植林に用いる樹木には、東南アジアを原産とする落葉広葉樹であるチークを選びました。外来種ではないため植林国であるタイの生態系を壊す心配がないからです。

 
樹齢1500年のチーク(幹の直径3m:外周10m)


タイ・バンコク市内の農業協同組合省において行わ
れた、 同副大臣プラパット・パンヤチャルティラック氏
との重要事項覚書の交換
(2002年9月)

上の写真は、2002年9月にBANGKOKのFIO本部で行われたFIOと鞄穴Cグローバルグリーニングとの共同植林事業に関するMOU(重要事項覚書)の調印式の際に撮られたものです。中央右に写っている方は、農業協同組合省(Ministry of Agriculture and Cooperatives)の副大臣であるPraphat PANYACHARTIRAK氏です。農業協同組合省は、日本の農林水産省にあたる組織です。その組織の副大臣が、外国の一企業との調印式に出席してくださったことは、タイ国の植林に対する意気込みの表れといえます。右端の方はFIO長官のChanatt LAUHAWATANA氏です。

さらに2003年4月、鞄穴CグローバルグリーニングはFIOと正式な共同植林事業に関する契約を交わし、タイ国北部ランパン県の32haの土地に2万本のチークを植林しました。

 

タイ・バンコク市内の農業協同組合省において行われた、森林工業機構(FIO)と
鞄穴Cグローバルグリーニングの共同植林事業に関する契約の調印式
(2003年4月)

この植林計画では、私達東海グローバルグリーニングが技術と資金を、FIOが実際の管理を担当しました。東海グローバルグリーニングが開発した効果的な挿し木の発根技術を用いて生産されたチークの植林用苗木は、FIOの指導の下に植林され5年間管理・保護されます。その後は木の成長に任せ、約30年後、成長したチークの一部を伐採・売却して現地の利益とします。

また私達は、植林したチークを焼畑から護り、現地の人々の経済的自立を手助けするための方法を提案していきます。

この植林では植林地での間作と換金樹木の防護林への利用を試みました。

植林したチークがある程度成長するまでは、植林地には広いスペースがあります。そのスペースで陸稲の栽培を行いました。この間作では、米の収穫だけでなく、土地の有効活用、植林地の雑草の防除など様々な利点が得られます。また、収穫後の稲ワラは若木の敷き藁として利用でき、いずれは微生物によって分解され肥料となり、木に栄養を与えます。

また、チークを強風や害虫から保護するため、チーク林の周りには防護のための木を植えました。この防護木として、現地でSA-DAOと呼ばれている木を用いました。この木は、若葉は食用になり、幹は木材となる大変利用価値の高い木です。また、種と葉には害虫に対する忌避効果があり、チークを害虫から護るのには最適です。また、葉が食用になるため、木材として利用できるようになるまでにも収入を得ることができます。


SA-DAOの木

私達は、「森林の回復、そして貧困からの自立とそのための地域文化づくりのお手伝い」を目指して、現地の状況に最も適した植林を行っていきます。


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