ベトナムの国土面積は329,241km2で、日本の約90%の広さです。ベトナムは南北に細長い国で、その全長は1,650kmもあります。北端の緯度は8度35分、南端は23度24分です。これだけ緯度が違うと、同じ時期でも北と南ではかなりの気候の差があります。そのため、森林の植生も地域によって大きく異なります。
北部から中部にかけての山岳地帯や山脈は亜熱帯に属し、常緑広葉樹林が広がります。また、同じ北部から中部でも低地は熱帯に属し、分布しているのは乾季に落葉する乾燥落葉性の樹木です。中部から南部に渡る地域も熱帯に属し、やはり熱帯乾燥落葉樹の森林が広がっていますが、南部の中でもメコン川流域には熱帯常緑多雨林が、メコンデルタなどの沿岸地域にはマングローブ林が分布しており、その植生は非常に変化に富んでいます。
このように、ベトナムの森林は地域によって独特の植生を持っており、その価値は計り知れません。
しかし、その貴重な森林がしだいに失われつつあります。ベトナムでは、年間10万haのペースで森林が減少しているといわれています。1940年代には国土の40%以上を占めていた森林面積も、現在では30%前後にまで減少しています。
森林減少の原因は、少数民族の焼き畑農業及び木材の薪炭利用、商業伐採などが上げられます。また、ベトナム南部に関しては、1945年から1975年まで続いたベトナム戦争による枯れ葉剤の大量散布も森林減少の大きな一因となっています。南ベトナムでは、山の北斜面にはほとんど木が生えていません。枯れ葉剤の影響がいまだ色濃く残っているのです。
貴重なマングローブ林も、戦争中に枯れ葉剤を散布されたり焼き払われたりして、壊滅的な被害を受けました。


木がほとんどないベトナムの山

森林の減少を食い止めるために、ベトナムは、現存する森林の保護・保全と植林による森林面積の回復を図るための政策を始めました。まず、商業伐採を食い止めるために天然林に由来する丸太・製材の輸出禁止措置を取りました。そして1997年に、1998年から2010年までに500万haの植林を行って森林面積を国土の43%までに回復させようという森林再生計画を国家プロジェクトとして制定しました。500万haの広さは、九州よりも少し広いくらいの面積です。

ベトナムの国土面積 329,241 km2
現在の森林面積(国土の33%) 108,650 km2
森林回復目標面積(国土の43%) 141,574 km2

現在、ベトナムではアカシアを中心に積極的な植林事業が進められています。


植林から5ヶ月後のアカシア林

植林から7年後のアカシア林

500haの土地に植林をするとなると、膨大な量の苗木が必要です。
株式会社東海グローバルグリーニング(TGG)は、ベトナムの森林再生計画の中心組織であるベトナム森林科学研究所(Forest Science Institute of Vietnam, FSIV)と共同で植林事業を行うことになりました。
ベトナムでも、植林用苗木の生産には主に挿し木が用いられています。東海グローバルグリーニングが開発した効率的な挿し木の調製方法を用いて、良質な苗木の大量生産を行います。


アカシアの挿し木の発根促進剤による苗木の生産

植林用に調製中のアカシアの苗木

2004年2月、株式会社東海グローバルグリーニング(TGG)は、ベトナム森林科学研究所(FSIV)と共同植林事業の契約を正式に交わしました。下の写真は、契約の調印式の際に撮影されたものです。

ベトナム・ハノイ市内のベトナム森林科学研究所(FSIV)において行われた、 FSIVと株式会社東海グローバルグリーニング(TGG)の共同植林事業に関 する契約の調印式(2004年2月)


写真の左側の人物は、ベトナム森林科学研究所(FSIV)の副所長を務めていらっしゃるDr. NGUYEN HOANG NGHIAです。


今回の植林では、南ベトナムのTran Yen地区にある5haの土地に、5種類のベトナムの在来樹種を植林します。植林樹種を単一にせず5種の在来樹種を混合したのは、植生林の状態をなるべく自然に近いものにするための取り組みです。しかも、これら5種の樹木は、植林後50年間は伐採しないとの契約のもとに植林されます。

5種の郷土樹種の苗木は、株式会社東海グローバルグリーニングが開発した効果的な挿し木の生産方法を用いて調製され、植林地に移植されます。

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